「今の保守会社に不満はないけれど、一度他社と比較してみたい」
——そんな軽い気持ちで相談を受けることがあります。
ところが実際に契約内容やアクセス権限を確認していくと、「これは知らなかった」「蓋を開けたら愕然とした」という発見に至るケースが少なくありません。
乗り換えのきっかけの多くは、料金そのものではなく、確認したら初めて分かった「見えていなかった問題」です。
この記事では、当社インセンブルが保守の乗り換え相談に対応する中で見えてきたよくあるパターンと、乗り換えを検討する際に事前に確認しておくべきポイントを紹介します。
乗り換え相談で見えてくる、よくあるパターン
個別の相談内容は当然ご紹介できませんが、複数の相談に共通して見られる傾向をまとめると、次のようなパターンに整理できます。
特定の1社の話ではなく、当社が保守の乗り換え対応をする中で繰り返し見えてきた「よくある型」です。
- 保守契約中のはずなのに、検索順位の低下やエラーに気づかれていなかった — 依頼された修正だけに対応する契約だと、「言われなければ気づけない」問題は見過ごされがちです。順位低下や表示エラーに自社側が先に気づき、それが乗り換えのきっかけになるケースは珍しくありません
- アクセス解析(GA4等)のアカウントが自社名義になっておらず、委託先が管理する大きなアカウントの一部として組み込まれていた — 乗り換えた瞬間にアクセスデータの履歴に手が届かなくなるリスクがあります
- タグ管理システム(GTM)の管理者が、社内の誰にも分からなくなっていた — 担当者や委託先が変わる中で引き継ぎが行われず、既存アカウントを探すより新規に作り直す方が早いという判断になることがあります
- 委託先が事業をたたむ、あるいはWeb制作から撤退してしまった — ドメイン・サーバーの契約者が委託先本人になっていた場合、事業終了と同時にサイトの存続自体が危うくなります
- 連絡してもレスポンスが遅い、または来ない — 「メールを送っても1〜2週間返事がない」という声は珍しくありません
- 保守料を払っているのに、実質何もしてもらえていない(放置) — 契約は継続しているが、こちらから依頼しない限り何のアクションもない状態
- ソースコード・ドメイン・管理権限を渡してもらえない — 解約を申し出た途端に対応が悪くなったり、「渡せない」と言われたりするケース
これらは共通して、「言われたことだけやる」契約と、「乗り換えられない前提」で管理権限を委託先側に握らせる構造から生まれています。
なぜこうなるのか
こうしたパターンに共通する背景は、大きく2つあります。
- アカウントのロックイン: GA4・GTM・Search Console・ドメイン・サーバーなどを、委託先が「自社の資産」として作成・管理してしまうと、乗り換え時にそのまま引き継げない、あるいは引き継ぎ交渉が必要になります
- 「守り」の保守と「攻め」の保守の違い: 依頼された修正だけに対応する契約だと、検索順位の低下やエラーのように「誰かが気づいて教えてくれないと分からない」問題は、契約に含まれていない限り見過ごされます
乗り換え前に確認すべき5つのこと
今の保守契約に不満がなくても、以下は年1回程度、確認しておくことをおすすめします。乗り換えるかどうかを決める前に必要な情報でもあります。
- GA4・Search Console・GTMなどのアカウントが、自社名義になっているか(委託先や前任の担当者個人の名義になっていないか)
- ドメイン・サーバーの契約者情報が自社になっているか(Whois情報や契約書の契約者名を確認)
- サイトのソースコード・デザインファイルを、こちらの求めに応じて受け取れるか
- 今の保守契約の解約条件(違約金の有無、解約通知に必要な期間)
- 引き継ぎ資料の有無(サイトマップ、管理画面のログイン情報一覧、過去の対応履歴など)
これらを確認して初めて「今の契約がどういう状態だったか」が分かることが多く、確認した時点で乗り換えの決断につながるケースもあります。
乗り換えのタイミング
乗り換えを検討するタイミングとして多いのは次のようなケースです。
- 契約更新のタイミング(違約金が発生しにくい)
- 今の委託先に明らかな機能不全が起きたタイミング(連絡が取れない、事業をやめてしまった等)
- 特に困っていなくても、上記5項目を一度確認してみるタイミング
「困っていないから確認しない」状態が一番リスクが高いというのが、多くの相談から見えてくることです。問題が表面化してから確認するのではなく、表面化する前に確認しておく方が、選択肢が多く残ります。
当社での乗り換え対応
当社では保守の乗り換えを受ける際、上記の確認項目をチェックリスト化して一つひとつ確認する運用にしています。
具体的には、GSC(Search Console)・GA4・ヒートマップツールなどの権限が独立した自社アカウントになっているかを必ず確認し、なっていない場合は再構築します。詳しくはサイト更新・運用代行サービスのページをご覧ください。
保守の対応範囲については、関連記事「ホームページ保守、月額に含まれる作業と別途見積もりの境界線」「ホームページ保守でよくある依頼ランキング」もあわせてご覧ください。
よくある質問
Q. 今の保守契約に不満がなくても、確認しておいた方がいいですか?
A. はい。「特に困っていなかったが、確認してみたら自社名義のアカウントがなかった」というケースは珍しくありません。問題が表面化する前に、年1回程度は確認しておくことをおすすめします。
Q. 委託先の会社がなくなってしまった場合、サイトはどうなりますか?
A. ドメイン・サーバーの契約者が誰になっているかによって変わります。委託先が契約者になっていた場合、事業終了と同時にサイトが停止するリスクがあります。契約者情報は事前に確認しておくべき最重要項目の一つです。
Q. GA4のデータは、乗り換え後も引き継げますか?
A. アカウントが自社名義であれば引き継げます。前の管理会社の大きなアカウントの中に組み込まれている場合は、そのままでは引き継げず、新しく自社アカウントを作り直す対応になることがあります。
Q. タグ管理システム(GTM)の管理者が分からなくなっている場合はどうすればいいですか?
A. 既存アカウントの管理者を探すよりも、新しいアカウントを作成して差し替える方が早く解決できることが多いです。
Q. 保守会社を乗り換えるベストなタイミングはありますか?
A. 契約更新のタイミングが違約金の面では動きやすいです。ただし、連絡が取れない・対応が止まっているなど機能不全が明らかな場合は、契約期間中でも早めに動いた方がリスクを抑えられます。
まとめ: 「困っていないから確認しない」が一番のリスク
保守会社の乗り換えを検討するきっかけは、料金の高さよりも「確認してみたら想定と違った」という発見であることが多い、というのが乗り換え相談への対応を通じて見えてきた傾向です。
アカウントの名義、ドメイン・サーバーの契約者情報、引き継ぎ資料の有無
——これらは今すぐ乗り換える予定がなくても、確認しておいて損はありません。
「今の保守、大丈夫か確認してほしい」という段階でも、まずはお気軽にお問い合わせください。
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