「ちょっとした修正のつもりで保守会社に頼んだら、想定外の見積もりが来た」——ホームページ保守サービスを利用する中で、こうした戸惑いの声は少なくありません。月額料金に何が含まれ、何が別途見積もりになるのか、契約前に具体的な基準を確認している方は意外と多くないのが実情です。

月額保守に含まれやすいのは「既存の情報・資料・デザイン要素を更新・差し替える」作業で、別途見積もりになりやすいのは「新しいページや機能、デザインを新規に作る」作業です。当社インセンブルが日々の保守対応の中から抽出した相談18件をこの境界線で分類すると、月額内で完結した実例が12件、別途見積もりの相談につながりやすかった実例が6件という内訳になりました。

この記事では、その18件の実例をもとに「これは保守で頼めるのか、それとも別途見積もりになるのか」を判断するための具体的な基準を紹介します。

保守の基本的な考え方:何が境界線になるのか

ホームページ保守(サイト更新・運用代行)契約は、あらかじめ決めた稼働時間・対応範囲の中で、日常的に発生する更新作業に対応する契約です。契約内容や範囲は保守会社によって異なりますが、一般的な境界線の考え方は次のとおりです。

  • 既存ページ内の情報更新(テキスト・画像・PDFなどの差し替え)は、月額内に収まりやすい
  • 新しいページの作成・新機能の実装・大掛かりなデザイン変更は、制作行為とみなされ別途見積もりになりやすい
  • 原因不明の不具合調査や、複数ページにまたがる修正の洗い出しは、「更新」の一環として月額内に含まれることもあるが、工数次第で相談になる

当社のサイト更新・運用代行サービスでも、契約時にはこの考え方を基準にご案内しています。実際にどこまでが月額内で収まり、どこからが別途見積もりになりやすいのか、次の実例で見ていきます。

月額保守の中で完結した実例(12件)

既存の情報・資料を更新・差し替える性質の依頼は、複数ページにまたがる場合や、掲載箇所の洗い出しが必要な場合でも、月額保守の範囲内で対応できたケースが大半でした。

業種 依頼内容 対応内容
医療機器関連企業様 販売終了商品の案内掲載 終売をお知らせする文面に差し替え
医療機器関連企業様 パンフレットPDFの更新 会社ページ・資料ダウンロードページ・お問い合わせ後のダウンロードページなど複数箇所のPDFを最新版に差し替え
小売店様(食品) フード商品の価格変更 商品を最新価格に修正
建材商社様 既存商品の注意書き変更 CMSの個別ページでテキストを修正し、アップ後に確認・客先へ完了連絡
士業・コンサル様 代表者交代に伴う会社概要変更 代表者名が掲載された全ページを洗い出して会社情報を更新
行政・公共団体様 イベント事例PDFの掲載 お知らせを更新し、リンク先のPDFをアップロード
サービス業様 ブログ最新投稿がTOPページに反映されない 表示カテゴリの設定を調整し、反映されることを確認
医療機器関連企業様 会社概要の修正(資本金・従業員数) 資本金・従業員数の記載を最新の値に修正
建材商社様 新商品の登録 提供された画像・テキストをCMSでアップし、20項目近くをチェックしてから公開
建材商社様 新カタログPDFの掲載 最新カタログPDFに入れ替え、お知らせにそのリンクを追加
小売店様(食品) 提携駐車場情報の更新 駐車場情報を最新の内容に更新
小売店様(食品) X(旧Twitter)アイコンの削除 サイト内のアイコンを削除

共通しているのは、ゼロから新しいページや機能を設計・実装する必要がなく、既存の仕組みやカテゴリの中で完結する作業だという点です。パンフレットPDFのように掲載箇所が複数にまたがるケースや、代表者交代のように全ページの洗い出しが必要なケース、イベント告知や新商品登録のように新しい情報をサイトの既存カテゴリに追加するケース、表示設定の調整のようなトラブルシューティングも含まれますが、いずれもゼロからページや機能を作る制作行為ではなく、既存の仕組みの範囲内で完結するため、月額保守の範囲内で対応できています。

別途見積もりになりやすかった実例(6件)

一方、新しいページや機能、デザインを新規に作る性質の依頼は、月額保守とは別に見積もりの相談につながりやすい傾向がありました。

業種 依頼内容 対応内容
建材商社様 ショールームページに画像クリック拡大機能を追加 個別ページに専用のJSライブラリを追加。提供写真から適したものを抽出し、トリミングなどの加工を実施
建材商社様 施工事例ページの新規作成 画像・テキスト・施工会社URLをもとに施工写真ページを新規作成。お知らせ・商品ページへのリンク追加まで対応
建材商社様 SPサイトのデザイン変更 ヒートマップツール(Clarity)でSP特定エリアの低クリック率を発見し、レイアウト変更と必要なデザイン修正を実施
建材商社様 新商品のPRバナー設置 提供された商品情報からTOPページ用バナーを新規デザインしアップ。設置後の反応をGA4・GSCで継続的に観察
行政・公共関連団体様 ランディングページの新規作成 チラシ(aiファイル)をもとにLPを作成。HubSpotのモジュール用にリデザイン・構築し、以降のLP制作で使い回せるテンプレート化まで実施
建材商社様 自社ドメイン直下へのブログ設置 外部ブログサービスではなく自社ドメイン直下にブログを設置。microCMSの無料プランとGitHub Actionsによる自動ビルド・デプロイの仕組みを構築(この構成の詳細は関連記事「自社ドメインに無料でブログを追加した実例」で解説)

この6件に共通するのは、「サイト上にまだ存在しないものを新しく作る」作業だという点です。画像拡大機能の追加やLPの新規作成、自社ブログの基盤構築などは、既存要素の更新にとどまらず、設計・実装・デザインといった制作工程を新たに伴うため、月額保守の枠組みとは別に見積もりの相談になりやすくなります。

※本記事の分類は、当社の相談ログにおける作業内容の性質にもとづくものであり、実際の見積もり可否は契約プランの規模や作業ボリュームによって変わります。今回の6件は月額予算が比較的大きいプランのお客様の実例が中心で、同じ内容の依頼でも月額予算が小さいプランの契約では別途見積もりの相談になりやすくなります。反対に「既存情報の更新」に分類した作業でも、差し替え箇所が極端に多い場合や、公開までの確認工数が大きい場合は、別途ご相談になることもあります。

契約前に確認しておきたいポイント

保守サービスを比較検討する際は、次の点を確認しておくと、契約後に「思っていたのと違う」という認識のズレを防げます。

  • 「更新」と「新規制作」の線引きが、その保守会社ではどこにあるか(具体例を挙げて質問するのが確実)
  • 複数ページにまたがる修正(PDFの差し替え、会社概要の変更など)の掲載箇所の洗い出しまで含むか
  • 原因不明の不具合について、調査そのものが月額対応の範囲に含まれるか
  • 新規ページ作成や機能追加を依頼した場合の見積もり基準・金額の目安
  • ヒートマップ・GA4などのデータにもとづく改善提案が、月額内の相談か、別料金のコンサルティングか

特に「更新」と「新規制作」の線引きは会社によって基準が異なるため、契約前に具体例を挙げて確認しておくことをおすすめします。判断に迷う場合は、まずお問い合わせのうえ、想定している依頼内容を伝えて確認するのが確実です。

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よくある質問

Q. ホームページ保守の月額料金に、新しいページの作成は含まれますか?

A. 基本的には別途見積もりになりやすい作業です。実際の相談でも、施工事例ページの新規作成や、チラシをもとにしたランディングページの制作は、既存ページの更新とは別に、制作行為として扱われました。ただし、月額予算が大きいプランの契約では、同様の依頼でも月額内で対応できる場合があります。

Q. 代表者交代に伴う会社概要の変更は追加料金がかかりますか?

A. 実例では、代表者名が掲載された全ページの洗い出しを含め、月額保守の範囲内で対応しています。掲載箇所の特定に手間はかかりますが、既存情報の更新という性質のため、別途見積もりにはなりにくい作業です。

Q. 資本金・従業員数など会社概要の数値情報を修正する場合、追加料金はかかりますか?

A. 実例では、資本金・従業員数の記載を最新の値に修正する対応を月額保守の範囲内で行っています。ただしこの実例は記載修正にとどまっており、代表者交代のケースのような全ページを横断した洗い出し作業を行った記録はありません。

Q. JSライブラリを使った画像拡大機能の追加のような、機能追加は月額に含まれますか?

A. 含まれないことが多いです。実例でも、ショールームページへの画像クリック拡大機能の追加は、新しい機能を実装する作業として、別途の対応になりました。

Q. PDF資料の差し替えのように、複数ページにまたがる修正は月額内で対応してもらえますか?

A. 実例では月額内で対応しています。パンフレットPDFが会社ページ・資料ダウンロードページ・お問い合わせ後のダウンロードページなど複数箇所にリンクされていたケースでも、差し替え箇所をまとめて洗い出したうえで一括更新しました。ただし差し替え箇所が極端に多い場合は、ボリューム次第で相談になることもあります。

Q. ヒートマップ分析をもとにしたデザイン変更のような相談は、月額保守に含まれますか?

A. 含まれないことが多いです。実例では、スマートフォン向けページのクリック率の低さをヒートマップツールで発見したうえでのレイアウト変更は、分析結果にもとづく設計変更として、別途の見積もり対象になりました。

Q. 保守の見積もりを比較するとき、最初に確認すべきことは何ですか?

A. 「既存の情報・資料・デザイン要素を更新する作業」なのか、「新しいページ・機能・デザインを新規に作る作業」なのかの境界線を、契約前に確認することです。この境界線の引き方は保守会社によって異なるため、具体例を挙げて確認するのが確実です。

まとめ:境界線は「更新」か「新規制作」か

実際の相談データを見ると、月額保守の範囲内で対応できるのは、既存の情報・資料・デザイン要素を更新・差し替える作業が中心です。反対に、新しいページや機能、デザインを新規に作る作業は、制作工程を新たに伴うため、別途見積もりの相談につながりやすくなります。この境界線は保守会社ごとに基準が異なるため、契約前に「更新」と「新規制作」それぞれの具体例を挙げて確認しておくことが、認識のズレを防ぐ最も確実な方法です。

「これは保守で頼めるのか、別途見積もりになるのか分からない」という場合も、まずはお気軽にお問い合わせください。想定している依頼内容をお伝えいただければ、月額内で対応できるか、別途お見積もりが必要かをご案内します。当社のサイト更新・運用代行サービスの詳細もあわせてご覧いただけます。